うま味の文化圏1

ー魚醤とナレズシが発達した東アジア・東南アジアの食文化圏としての特徴ー
 

図●は16世紀頃の伝統的な調味・香辛料の分布を示した図である。調味料は文明の発生によって発展し始め,その文明の中心地では色々な調味料が出現するが、その周縁部では極めて単純な調味、すなわち塩くらいしかなかった。図中には塩は記入していなく、無彩色の部分はほぼ塩しか調味料がない世界である。ヨーロッパはハーブ・スパイス圏、アラブはタービル(タービルとはアラビア語で香辛料を意味する)圏、インドはマサーラ(いわゆるカレー)圏である。これに対して東南アジアは魚醤圏、東アジアは魚醤も使用するがここでは豆醤圏つまり味噌・醤油の仲間が味付けによく用いられる圏に属す。太平洋はココヤシ圏、新世界はトウガラシ・トマト圏となっている。

 
図●は日本、イギリス、アメリカで食べものとしての塩をどのような食品からとっているかを比較したグラフである。アメリカやイギリスはハムやチーズなどの肉や卵の加工品やパンやクッキーなど穀類の加工品、クリームやチーズなどの乳製品による摂取が特徴的である。塩は食卓に置いて、少し塩味が足りない時に料理にかける食べ方と、台所に置いて調味で使う食べ方をするが、イギリスではそのような使い方の塩は32%である。これに対して、日本は台所での味付けや食卓塩として使うのは13%と少なく漬物や加工食品から摂る分が多い。また、日本人は調味料から45%の塩を摂り、醤油が27%、味噌が16%、その他2%という結果である。塩のかなりの部分を味噌と醤油から摂っている。つまり、私たちは塩味とうま味を調味料でいっしょに摂っているのである。東南アジアにおける同様の調査がないので比較が難しいが、東南アジアの場合、魚醤とナレズシから塩味とうま味を多く摂っており、魚醤が日本の味噌・醤油のように万能調味料として使われているといえるはずである。
うま味の文化圏1