週刊朝日百科『世界のたべもの』

刊行年月1984年3月
著者名石毛直道,辻静雄,中尾佐助(全巻監修)
刊行者名朝日新聞社

『朝日百科 世界の食べもの』は,実用的な料理書やガイドブックでも,学術書でもない新たな視点から,食べものについてのあらゆる知識・情報を集大成するものとして編まれた。人類が築き上げてきた巨大な文化遺産として「食」にまつわる文化事象をまとめ上げる。豊富なカラー写真で眺めているだけでも楽しい食の百科事典。1980年12月~1983年8月にかけて140分冊刊行,1984年には全14冊と索引を中心にした別冊1冊にまとめた合本版が発売。140分冊のうち,80分冊が世界各地の食,40分冊が日本の食,20分冊はテーマ編で『乳と乳製品の文化』など。

 

自選著作集での説明

『世界の食べもの』の特徴は,世界の従来の食に関する事典,全集では取り上げられることのなかった地域をふくめ全地域をカバーしていることと,料理つくりの技術よりも食文化の考察に焦点があてられていることである。この事典の企画にあたり同じ監修者である中尾さんとつよく主張したのは,食を本来のナチュラル・ヒストリー,すなわち,地域の環境を記述し,そこでの植物・動物の生態と人間のあり方までを枚挙,網羅する野外科学の立場からあつかうことであった。ナチュラル・ヒストリーの基盤があって,近代生物学が生まれた。おなじように食文化というあたらしい分野を確立するための基礎作業として,世界のさまざまな環境における食生活の実態を枚挙することが,この事典の使命であると主張したのである。わたしは監修とともに,28の記事を寄稿しているが,この事典の作成にかかわることで,自分の行ったことのない地域の食についても知ることができ,わたしなりに世界の食文化を展望することができるようになった。