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 長年の友人であった故小松左京さんが、大食らいで、酒飲みのわたしに、「大食軒酩酊たいしょくけんめいてい」という号をつけました。
 若い頃から文化人類学の現地調査をおこなってきた、食いしん坊のわたしの調査ノートには、世界各地の食に関する記録がたくさんあります。あるとき、それを使って食に関する文化の人類学的研究をはじめようと思いつきました。
 調べてみると、食に関する文化の研究は、世界的に未開拓の分野であることがわかりました。探検とは未知の地域に挑むことです。探検好きのわたしにとって、食文化は魅力ある研究対象でした。

 生活の基本に位置する食は、人間活動のあらゆる側面に関係をもっています。そこで、食文化研究の基礎つくりには、さまざまな分野の研究者が集まり、日本の食文化だけではなく世界を視野にいれた、さまざまな角度から食を論じる学際的討論が必要です。そのような場を提供してくれたのが、「財団法人 味の素食の文化センター」です。

 1980年にはじまる「食の文化シンポジウム」、1982年から開催されるようになった「食の文化フォーラム」では、毎回その成果をまとめ、一般の読者にも入手できる書籍として刊行しています。このことによって、食文化ということばが社会的に認知され、食文化研究を志す若い研究者が続出するようになりました。そして、日本は食文化研究の先進国になったのです。
 わたしも、このような「財団法人 味の素食の文化センター」の活動に育てられた研究者の一人です。

 好奇心がつよく、さまざまな研究分野に首をつっこむ癖のあるわたしですが、食文化研究だけは一貫して続けてきました。   
 そんな、わたしの食文化研究歴を掲載してくださるとのこと。自分の個人的な事柄についてはあまり語らない、恥ずかしがり屋のわたしですが、このホームページをごらんになって、食文化に興味をもつ方がでたらよいと考え、お引き受けすることにいたしました。
 食文化研究と、「財団法人味の素食の文化センター」へのご支援をお願いするしだいです。

2012年9月

taisyokuken-sign.png大食軒酩酊 sign.png